2025.09.12
9月12日大規模訓練実施28分で業務復帰
2024年9月12日、私たち株式会社関通は、ランサムウェアによる攻撃を受けました。 この攻撃により、一時的にクラウドサービスが停止し、顧客や取引先の信頼を大きく揺るがす危機に直面しました。 そこで痛感したのは、サイバーセキュリティは単なる「防御」では不十分だということ。 「攻撃を受けても、どれだけ業務を復旧できるか」 が事業継続において最も重要だと学びました。 その事件から1年間。私たちはサイバー攻撃に対する予防策の強化だけでなく、どのようなインシデントが発生しようとも、一分1秒でも早く業務を復旧するためには?を自社に問いかけ復旧プランの構築を行ってきました。 この復旧プランのことを当社では「Bプラン」と呼んでいます。 そして、2024年の同日にあたる2025年9月12日。 当社は攻撃仮説シナリオを準備し、大規模防災訓練を行いました。 結果。【28分】での完全業務復旧を実現することができました。
ここに実際に行われた訓練の一部を公開させて頂きます。
全社訓練は、当社の基幹システムであるWMSが全面停止するという最悪の事態を想定し、初動対応から復旧・報告・収束宣言までの全プロセスを実践する流れで構成されました。
訓練は4つのフェーズに分け実施されました。
【フェーズ1:初動対応(WMS全停止)】
WMSの全サービス停止が報告されると、経営陣は直ちに緊急対策本部を設置しました。
各部門は経営陣からの指示によって、即座にインシデント対応に取り掛かりました。
情報システム部門はWMS停止の第一報を受け、即座に経営および開発部門に報告。
範囲を迅速に特定し、復旧に向けた情報提供を行いました。
開発部門は、障害発生と同時にアラートログを確認し、システム障害の範囲を正確に把握し、証拠保全と同時に、復旧シナリオ「プランB」を実行のための準備を行いました。
営業部門は、顧客への影響を最小限に抑えるため、主要顧客への一次連絡案を即座に作成。問い合わせ対応のテンプレートを準備し、迅速な情報提供に備えました。
広報部門は、事態の把握と同時に、自社サイトへの情報公開内容とタイミングを検討。正確かつ迅速な情報発信の準備を進めました。
現場部門は、WMS停止に伴う入出庫や在庫確認ができない状況を即座に把握し、全作業の一時中断を判断。復旧後のチェック体制も並行して準備しました。

【フェーズ2:原因判明と復旧シナリオ】
情報システム部門によるログ解析が完了させ、不正アクセスの原因を特定させました。(訓練用題材)
これを受けて、開発部門は事前に準備していた復旧シナリオ「プランB」を訓練用ドメインが実際にダウンしていることを確認後、バックアップからの復旧を迅速に実施。用意した復旧シナリオを短時間で完了させ、サービスの正常稼働を共有しました。(26分)
経営陣は、各部署から報告された情報をもとに、プランBの実行を承認し、全社的な復旧体制を統括しました。
【フェーズ3:模擬通報とステークホルダーへの報告】
システム復旧後、各部門は顧客や公的機関への情報共有と報告シミュレーションを実施しました。
営業部門はシステム復旧後、顧客に対して迅速にその旨を模擬報告を実施。法務部門は、万が一の事態に備え、警察(サイバー犯罪対策課)への報告内容を具体的に準備・共有し、適切な法的手続きへの確認を行いました。
【フェーズ4:復旧報告・収束宣言】
プランBの実行により、クラウドトーマスはわずか26分で完全に復旧し、事業継続の確保が確認されました。各部門は、取引先や顧客、公的機関などステークホルダーへの最終報告内容を整理。経営陣はこれらを受けて、本サイバーインシデントの「収束」を宣言し、訓練を終えました。

【成果】
WMSは 26分で完全復旧。復旧後の報告体制まで含め、全てがスムーズに機能したことが確認できました。
【サイバーガバナンスラボの意義】
当社は、自社が受けたサイバー攻撃という未曾有の危機を経て、企業としての在り方やサイバー対策の根本的な見直しを行いました。この経験を経て、当社はサイバーセキュリティの専門企業であるCISOとパートナーシップを締結し、新たに立ち上げたのが「サイバーガバナンスラボ」です。
「サイバーガバナンスラボ」では、 “リアルな被害事例”をもとに、再発防止や危機管理に直結する知見を提供。実際の対応現場で得られた教訓や判断のプロセスを学ぶことで、参加企業はサイバーリテラシーを組織全体で高めることが可能です。また、CISOとの連携により、このプログラムは「経営目線でのセキュリティ」と「専門技術による対応力」の両面を備えた、実効性の高い内容となっています。単なる知識の提供にとどまらず、危機対応に本当に必要な「備え」と「行動」を習得できる機会として、多くの企業にご活用いただきたいと考えています。
【おわりに】
今回の訓練では、昨年の教訓を活かした新たな対策が有効であることを実証しました。
特に、短時間でシステムを復旧させる「プランB」の有効性が確認できたことは大きな成果です。
各部門が自身の役割を深く理解し、スムーズな情報共有と連携が実現しました。
この訓練結果は、当社のセキュリティ体制が大幅に強化され、当社のサービスがより強固な環境で稼働していることを示すものです。
昨年の出来事を決して忘れず、毎年9月12日を「サイバーガバナンス・デー」として定め、全社員のセキュリティ意識向上に継続的に取り組んでいきます。