2025.10.31
インシデント対応とは
インシデント対応とは、予期せぬトラブルや問題が発生した際に、被害を最小限に抑える対応のことを指します。
インシデントとは、実際には事なきを得たが重大な事件や事故につながる可能性があった事柄を指し、インシデントと共によく耳にするアクシデントは、実際に事件や事故につながってしまったものです。私達、物流会社は、モノの流れを支える社会のインフラであり、入荷から保管、仕分け、出荷、輸送に至るまで、あらゆる工程での正確性とスピードが求められます。しかし、スピードを求められる現場ではヒューマンエラーやシステムエラーなど各工程でインシデントが発生する可能性は常につきまといます。
完全になくすことが不可能なインシデントに向き合い、物流品質を維持・向上させるには、こうしたインシデントに対する迅速かつ的確な対応が不可欠です。今回のコラムでは物流会社における「インシデント対応」の基本と重要性について解説します。
インシデント対応とは

インシデント対応とは、入荷から保管、仕分け、出荷、輸送に至るまで、あらゆる工程で起こる予期せぬ問題やトラブルが発生した際に業務への影響を最小限にとどめ、再発を防止するための取り組みのことを指します。
物流会社におけるインシデントとして、下記のようなものが挙げられます。
・ピッキングミスや出荷ミス
・在庫データの不一致
・倉庫内での事故や怪我
・商品の破損・紛失
・荷主やエンドユーザーからのクレーム
・システム障害(WMSやTMSのダウンなど)
・災害・天候による配送遅延や操業停止
このような事象が発生した際に、早急に対応することにより被害を最小限におさえる取り組みを”インシデント対応”と呼びます。
この対応によりインシデントによる業務停止期間を短くし収益への影響を最小限に抑えるとともに顧客満足度の低下を防ぎます。
インシデント対応の重要性

インシデント対応はなぜ重要なのでしょうか。私達物流会社は、エラーやトラブルの“対応力”こそが品質の指標になります。どんなに最新のシステムや設備を導入しても、ヒューマンエラーや外的要因によるトラブルは完全には避けられません。
したがって、トラブルが起きた際の初動や、事後対応の品質こそが、取引先からの信頼を左右します。インシデント対応がもたらす効果として、下記3つがあります。
・顧客満足度の維持・向上
迅速で誠意ある対応により、信頼関係を維持。
・業務の安定化
同様のトラブルを繰り返さない体制の構築が可能。
・現場のモチベーション向上
問題を正しく分析し、責任追及よりも再発防止にフォーカスすることで、モチベーションアップ。
会社を円滑に運営していくためには、最新のシステムや設備だけでなくインシデント対応が重要になっています。
インシデント対応の基本ステップ

インシデント対応は、下記の順に行います。
・報告と初期対応
問題発生時には、関係部署へ速やかに報告し、一次対応を行います。例えば、出荷ミスであれば出荷停止や訂正処理などを即座に実施します。
・事実確認と情報共有
何が、いつ、どこで、なぜ起きたのかを正確に把握し、関係者と情報を共有します。報告書のフォーマットやシステムへの記録も重要です。
・顧客・荷主への連絡と対応
問題内容を明確に伝え、謝罪と今後の対応策を説明します。曖昧な説明はさらなる不信を招きます。
・原因分析と再発防止策の策定
問題の根本原因を明らかにし、業務フローやマニュアルの見直し、教育強化などの対策を講じます。
・社内展開と教育
発生したインシデント事例は全社で共有し、同様の問題が他拠点で起こらないように教育や研修を行います。
まとめ
インシデント対応は、会社の品質を決める重要なものです。物流業界では、インシデントの発生は避けられないものと捉えるべきです。だからこそ、「何が起きたか」よりも、「どう対応したか」が企業価値を決める大きな要因となります。
常に現場と本社が連携し、“隠さない・遅らせない・放置しない”を徹底した対応体制を構築することで、物流品質は着実に向上します。
インシデントは“改善のチャンス”と捉え、柔軟かつ前向きな対応を続けていきましょう。